アスベストは大きく分けて「蛇紋石族」と「角閃石族」があり、さらに以下のような種類に分類されます。
ア ス ベ ス ト
石 綿 |
分
類 |
石綿名 | 備考 |
蛇 紋 石 鏃 |
クリソタイル (白石綿) |
ほとんどすべての石綿性製品の原料として使用されてきた。 使用されてきた石綿の90%以上占める。 |
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角 閃 石 族
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クロシドライト (青石綿) |
吹付け石綿として使用されてきた。 石綿管、断熱材にも使用されてきた。 |
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アモサイト (茶石綿) |
吹付け石綿として使用されてきた。 煙突断熱材、配管保温材等にも使用されてきた。 |
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アンソフィライト |
他の石綿やタルク、ひる石などの不純物として含まれる。 トレモライトは吹付け石綿として一部使用されていた。
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トレモライト |
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アクチノライト |
注)これらのアスベスト以外にリヒテライト・ウィンチャイトの2物質があります。
当社はこれらの物質の分析にも対応しています。
アスベストが様々な工業製品に使用されてきたのは、経済的に安価であること、アスベストの物性によるものです。特に以下の点が挙げられます。
アスベスト(石綿)は、肺がんや悪性中皮腫を発症する発がん性が問題となっています。現在では、原則として製造及び使用等が禁止されています。
発がん性の有害性は、クロシドライトが最も強いと言われています。
クリソタイル → アモサイト → クロシドライト
発がん性が弱い ➡ 発がん性が強い
特に喫煙者がアスベストにばく露すると危険度が高まることが知られています。
アスベストが主に使用された時期は高度経済成長期である1970年代に多く使用されました。飛散性の高いレベル1建材である吹付材は主に1990年頃まで、レベル2の建材については一部2004年まで使用されたものもあります。
ロックウール吹付材にアスベストを混入しなくなった時期は1980年ですが、現場施工の際に混入の可能性があることから1995年頃まで使用されている可能性があります。2005年にアスベストが原則使用禁止になったため、これ以降に建築された建物ついては建材にアスベストは使用されていません。
石綿健康被害救済制度の対象と疾病は中皮腫、石綿による肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚になります。
中皮腫
中皮腫は胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜にできる悪性の腫瘍です。石綿肺や肺がんより低濃度のばく露量で発症することが知られています。潜伏期間は40~50年と非常に長く、20年以下の発症は非常に少なくなります。職業ばく露だけでなく、家庭内ばく露、近隣の環境ばく露による発症が報告されています。
肺がん
肺がんは石綿だけでなく喫煙や大気汚染など石綿以外の要因でも発生します。しかし、喫煙と石綿の両方のばく露を受けると肺がんの危険性が高くなることが知られています。石綿のばく露量が高いほど肺がんになる可能性が高くなります。
石綿肺
石綿肺は石綿ばく露によって肺が線維化するじん肺に一つです。石綿を大量んいばく露すると発症することが知られています。じん肺の原因は石綿以外の鉱物性粉じんなど他の要因もありますが、特に石綿ばく露によって起きた症状を石綿肺と区別しています。
合併症として肺がん、中皮腫、胸水、気管支炎を発症することがあります。
びまん性胸膜肥厚
びまん性胸膜肥厚は高濃度の石綿ばく露で発症し、潜伏期間は30年程度となります。職業ばく露によるびまん性胸膜肥厚症例のばく露期間は3年以上がほとんどとなります。
アスベストは労働安全衛生法で0.1%の基準値が定められ、石綿予防規則、大気汚染防止法、建築基準法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など多くの法律で規制されています。
大気汚染防止法や石綿障害予防規則によって規制されるアスベスト含有建材は、発じん性によって、レベル1・レベル2・レベル3に分類されます。建材レベルによって既存建築物内のアスベスト管理の方法や、解体時や廃棄時の取り扱いが変わります。