旧庁舎の解体におけるアスベスト事前調査で民間資格の「アスベスト診断士」認定者による調査不備がありました。
1つ目が、煙突とボイラーをつなぐ横引き煙道に施工されていたアスベストの見落とをしています。
2つ目が、建材の種類が異なる建材が二重に施工されているにも関わらず建材を混合して1検体として分析した不適切な分析を実施してます。
分析は、分析を指示した会社と分析をした会社が異なっていたが、両会社ともに異なる建材の混合については問題無いとの見解を出しています。
解体前アスベスト事前調査の主な留意点
アスベストの有無について、書類調査及び現地調査(目視、設計図書等による調査)を的確にできる者が行うことになっています。厚生労働省からの通知「建築物に係る石綿の事前調査にっける主な留意点」(平成30年4月20日)として以下の事に注意が必要となります。
①書面調査は省略すべきではない
②現地調査においては石綿建材の使用状況の網羅的な把握
※内装や下地等の内側等、外観からでは直接確認出来ない部分についても網羅的に調査を行う。
③同一と考える材料範囲の特定
※同じフロアで内・部屋内であっても、施工年や改修年、吹付けの色が異なる、建材の種類が異なるなどの場合には、それぞれの範囲ごとに別の建材として、石綿の有無を判断する。
④石綿分析の有無の分析調査が的確にできる者
※「石綿分析技術評価事業」Aランク又はBランク認定技術者
※「アスベスト偏光顕微鏡実技修了者」「アスベスト偏光顕微鏡インストラクター」
⑤事前調査における責任分担の明確化及び情報伝達
※一連の事前調査に過程に携わる者の間での、判断や責任分担の明確化
※分析者に対して、採取した試料の建材の種類などの重要な情報伝達
今回の事例は、現地調査時の網羅的な把握不足や同一建材の特定の不備、建材試料採取の判断や指示の不備、分析者の不備といった複数の要因で起きたと考えます。