浜見保育園のアスベスト事案について、第三者委員会により5月25日に最終報告書が藤沢市に提出されていました。藤沢市ではこれをうけて、昭和47年に開所されてから平成19年8月に除去されたアスベストの飛散の疑いについて、2018年8月27日対応を発表しています。
今回の事例は、アスベストばく露に対する検診・補償・見舞金など制度構築まで踏み込んだことに意義を感じます。保育園や幼稚園は給食室や遊戯室、ステージなどにアスベストが使用されているケースがあります。当社でも調査時に把握していないアスベストが発見される事例を何度も経験しています。解体前のアスベスト調査でアスベストが発見されても本来であれば、働いていた労働者や建物を利用していた場合に、アスベストばく露の可能性があります。単純に除去の届出をして工事をするだけなく、本来は過去に遡って対応を考える必要があると考えます。
対応の概要
対象は在籍した園児及び職員とし、アスベストばく露の状況に応じて6区分に分けて対応する。
検診制度の実施
アスベストリスク評価が10-7以上のレベルを対象に希望者へ検診を実施する。検診希望者は毎年検診の対象とする。対象疾患としては早期に発症する可能性が高い胸膜プラーク、アスベスト関連肺がんの2疾患を対象。
補償・給付制度の構築
アスベスト関連疾患の発症が保育園のアスベストばく露に原因とする場合には、民事上の損害賠償責任があると市は判断する。給付制度を設ける根拠としてはアスベスト関連疾患に羅患していること、アスベスト事案がアスベスト関連疾患に寄与した可能性が否定できない、他の事案にうよるアスベストばく露の経歴がない限り一定の補償が行われる期待感が保護者、園児にあること。
見舞金制度の構築
アスベスト関連疾患の発症の有無に関わらず、一律の金額で見舞金を支給する制度を設ける。